旅行記 | mom0tomo

旅の記録

ギリシャのねこと怖い犬と畑の中の宿

Booking.comで取った宿のオーナーとメールのやり取りが入れ違ってしまい、宿に着いたがオーナーがいない。一軒家のゲストハウスなので他には宿泊客もいないし、わたしたちは日本国外で通話できる電話を持っていないので、オーナーと連絡がつかない。

とりあえず食べられるうちに、と空港でギリシャ・トラディショナル・ベーグルと書いてあるものを食べた。クルーリというらしい。ゴマがまぶしてある軽いパンでおいしい。顔より大きいサイズで1.3ユーロ。200円くらい。

空港で買ったクルーリ

 

タクシーで宿に向かった。宿は畑のど真ん中にあった。運転手に「こんなジャングルみたいなところ」と文句を言われ、チップを余計に取られる。宿の周りには何もない。カササギが飛び回っている。ぶらぶら歩きながら家がある集落を探す。

ポピーが一面に咲いていた

 

本当に誰もいない。途方に暮れる。畑を出て家が集まっている地区まで歩く。どの家も人気がなく、犬しかいない。犬は番犬として飼われているらしく、野生味がありびっくりするほど激しく吠えてくる。野良でぶらぶらしている犬もいる。全体的に、大きくてアグレッシブで怖い。家主のいない家を守る役目なのだろう。でも家主不在時の餌や世話はどうしているのか?

どの犬も家の半径10mに入ると激しく吠える

 

通る全ての家の犬に激しく吠えられ続けながら歩いていると、おばあさんが1人、庭仕事用の小屋から顔を出してくれた。「コスタスさんの家に泊まる者だけど連絡が取れない。コスタスさんを知っているか?」と話しかける。

ねこがたくさんいる

 

相手もこちらも英語ができない。相手は諦めて完全にギリシャ語で話しかけてくる。ギリシャ語はイタリア語とちょっと似ているので雰囲気だけわかる。こちらの英語は「コスタスさん」「いない」「困ってる」くらいは通じているようだ。

おばあさんによると、コスタスさんは坂になっている畑の上の方に住んでいるらしい。畑を登る。

なだらかな斜面にオリーブの畑がある

 

畑を登った先の集落は、さっきの集落よりは少し家が多いが、相変わらず人気のない家と激しく吠え続ける番犬が並ぶ。

どの集落や畑にもねこがたくさんいる。ねこは犬と打って変わって人懐っこく、おっとりしている。黙っていると脚に絡みついてじゃれてくれる。

人懐こいねこがたくさんいる

 

どこにでもねこが寝ている

 

庭で爆音のギリシャ民謡?を流しているおじいさんがいたので話しかけたが、耳が遠くて何も聞こえない模様。全く何も話せなかったが、ニコニコ笑顔で別れる。ここでも大きな犬に吠えかけられた。

ぐるりと一周集落を回ったところで、電動キックボードに乗った男性とその友人を見つけた。この集落で出会った人の中では際立って若い。ダメ元で声をかけると、コスタスさんを知っているという!

キックボードの男性はその場でコスタスさんに電話をかけてくれて、連絡がついた。鍵の番号を教えてもらい、宿に入れる目処がついた。キックボードの救いの神と握手を交わし、宿の方に戻る。坂道も渋滞も多いので、電動キックボードはかなり快適そうだ。

宿に戻る途中で、突然羊の群れが現れて道を塞いだ。大群の羊を率いているのはおじいさん1人と、3頭の牧羊犬だった。さっき見た犬の一部は牧羊犬だったらしい。真正面からたくさんの羊が道を塞いで向かってくるのは迫力がある。羊たちと牧羊犬が道を横切って畑に向かうのを眺める。

道を塞いで羊の大群が迫ってくる

 

17時になってオーナーのコスタスさんと合流する。行き違いについてお互い謝った。その後、オーナーは息子さんと車で合流し、2人でバス停まで送ってくれた。息子さんは観光関係の仕事をしているらしく、いろいろな国の言葉を少しだけ話せる模様。新潟県を知っているというので驚いた。

コスタスさんは素晴らしいオーナーだった。夕方も過ぎてから中心街へ向かおうとするわたしたちに、サンドイッチを2つ持たせてくれた。分厚くカットしたギリシャ産のフェタ・チーズと、目の前でスライスしたトマトときゅうり、ハムが入ったサンドイッチ。街中でレストランに入る時間の余裕がない中でとても助かった。塩気の効いたフェタ・チーズと新鮮な野菜でお腹がいっぱいになった。旅行に出て以来初めてのフレッシュな食べ物だった。

初めてフェタ・チーズをこんなに贅沢に食べた

 

明日の早朝7時には別の街に立つ。今日アクロポリスに登ってパルテノン神殿が見たい、ということで大急ぎで中心街へ向かう。畑の中の宿から中心街までメトロとバスで夏は日が長いので、屋外の施設も20時までオープンしている。

5月間近のギリシャは19:00でも明るい

 

閉場時刻になると軍人が国旗を下しに来た

 

19時でも日本の16時頃のように明るい。向かいの山に日が沈んだのは20時半ころだった。

神殿の向かいの山に日が沈む

 

アテネ中心街も、至る所にねこがいる。街中には人懐こいねこも、そうでないねこもいる。みんなかわいい。

街中のねこ

 

神殿の麓のねこ

 

アクロポリスを降りて暗くなる前に帰ろうとした後、降りるバス停を間違えたり、唯一インターネットに繋がるスマホの充電が切れてキオスクに駆け込んで充電してもらったり、家までの真っ暗な農道を野犬に阻まれ追いかけられたり、いろいろ大変なことがあったがそれはまた別のお話。

明日は4時に起きて7時の便でテッサロニキまで飛ぶ。

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