クラクフ散策とティニエツ修道院への宿泊
飛行機が着陸する前から、クラクフは素敵な街だとわかった。
東北の山間で生まれ育ったので、暑い地中海地方よりも北国の方が安心する。そしてクラクフは、なぜか着いた瞬間から実家のような安心感があった。
クラクフは古い街並みが残り独特のおっとりした雰囲気があるため、首都ワルシャワを東京に見立てるとに古都京都に例えられることがあるそうだ。
空港から中心街までがとても近い(飛行機を降りて最短45分ほどで街中に出られる)。空港自体がかなりこぢんまりしている。山形駅より少し大きいくらいの規模感にも見える。インフォメーションセンターの人も、両替窓口の人もおっとりしていて親切だ。ポーランドで利用されているのはユーロではなく独自通貨なので、20ユーロだけズオティに両替する。モタモタ両替したが、後ろに並んだ人は急かすでもなく並んでゆっくり待ってくれていた。
空港からの電車で電車の切符の購入も、タッチパネルで簡単だ。普通の小さなバス停にも大体券売機がある。タッチ決済も使える。
空港からの電車で、立派な角を持った美しい牡鹿を見た。
アテネからテッサロニキ(エーゲ航空)、テッサロニキからクラクフ(ライアンエアー)と1日2本のフライトを終えてクタクタになった体をゲストハウスで休めた。
ゲストハウスは街中一等地、中心広場から半径500メートルほどのところにある。疲れ切った体でも、風呂上がりに少し夜の街歩きを楽しめるくらいアクセスがよかった。中心街は観光客と若者で活気があり、夜22時を回っても賑やかな様子。ゲストハウスの一階が(通りから見えない奥まった場所にも関わらず)大層繁盛している酒場だったので賑わいが夜まで聞こえてきたが、疲れていたのと分厚い壁と窓で音が遮られているおかげでぐっすり眠った。朝になると昨日の賑わいが嘘のように静まり返っていた。
毎時正時に、中心広場の聖マリア教会からラッパを吹く音が聞こえる。ラッパの演奏は必ず途中でぷつりと切れる。昔モンゴルの方からタタール人が攻めてきた際に、ラッパ兵が喉を射られ絶命したたことを再現しているそうだ。
クラクフの街はあらゆるところに秩序があり、大きな不安を感じない。一瞬日本にいるのかと錯覚してしまうほど、リラックスできる。得体の知れないこと、予想もしないトラブルはまず起きないだろう、というなんとなくの安心感がある。人々の話し声も静かだ。電車内でも大きな声で話し電話をかけるアテネやテッサロニキとのギャップがすごい。
お金の計算と言葉はとても難しい。全く言葉がわからない国に来たのは久しぶりだ。
朝、中心広場や公園をゆったり散歩した。あらゆる緑が美しい。初夏を感じる。桜やモクレン、ユキヤナギなどいろいろな花が一斉に咲き、鳥が巣作りに励む様子を見て、山形も春が短いが、クラクフはもっと冬から初夏への切り替えが急なんだろうと思う。
朝の街をねこと散歩しているおじさんがいた。
修道院行きのバス停に向かっていたら、青空市のような祭りが開催されていた。
ジュレック(ライ麦を発酵させたスープ)とビーツのスープを飲む。パンは無料で必要なだけ持って行っていいシステム。別の屋台で大きなソーセージも買った。どれもおいしい。
交差点の真ん中にあるバス停から修道院に向かう。
修道院は崖の上にあるのだが、街中から20分ほどで到着した。修道院までの川沿いはサイクリングロードとしてもおすすめされているようだ。