旅行記 | mom0tomo

旅の記録

恒常性を強く求めるのに、なぜ海外旅行は好きなのか

土日も平日もなく、定型化したパターンの行動を取りたがる。いつも同じ食堂で同じメニューを飽きずに頼む。大人になった今も全く変わっていない。むしろはっきり特性を認識した分、こどもの頃より顕著になっている気がする。

 

朝は同じ時間に起きて同じメニューの朝ごはんを食べ、定時に出社し、12時に昼休みを取り、同じ時間に夕食を取り、同じルートを1時間散歩する。時計のように動くことで周りの季節の変化に気づくことができるのがうれしい。普段の刺激はそのくらいで充分だ。

 

数年間リモートワークをしていると、ときどき自分が熱帯魚や室内飼いの猫になったような気持ちになる。1日のほとんどの時間同じ部屋、同じ机で過ごす。部屋には温度・湿度計をおいて折々チェックしているので、部屋の温度や湿度はだいたい体感でわかるようになった。夏の夕方の日の長さや、冬の朝まだ外が暗いのを見ては楽しんでいる。

 

今はフルリモートワークだが、出社していた頃は家と会社に同じメガネやイヤホンを買い揃えたりしていた。とにかく「いつも同じ」を追求したがる。

 

これだけこだわるのに、なぜ海外旅行は好きなのか?しかもツアーではなく必ずどこかでトラブルが起こる個人旅行が。

 

海外旅行は「いつもと全然違う」を体験しに行くものだと思う。陽の光、街の音、風の匂い、取り巻くものが全て根本的にいつもと違う。周りの環境をそっくり別のものに変える楽しみ、というのは海外旅行の魅力だ。

 

ただ、わたしがよく行くのは時差が大きい欧米で、安い航空券を選ぶのでトランジットも長い。ベッドも、食事も、寝る時間も、起きる時間も、いつもと違って自分の中のタイムスケジュールはめちゃくちゃになる。

 

めちゃくちゃになることを考えるとつらくなるので、とにかく旅行中の身の回りを整えたくなる。だから持っていくものを入念に準備する。そしてできるだけいつもと同じく過ごせるようにさまざまな工夫をする。

 

たった10日程度のために全く準備が大変なことだ、といつも思う。長期旅行、特に海外旅行は予想外の出来事が避けられないので、いつも不安に襲われる。行く前から何日も興奮して眠りが浅くなる。

 

いざ出発する前、直前になってやっと、旅先でトラブルが起こることは諦めて「今までもなんとかなったんだし、これから起こることもなんとかなるだろう」と割り切って考えられるようになる。

 

外部環境によって自分の考えが変わること、クタクタに疲れていつもは過敏な神経が鈍ること、「自分はまだなんとかなる」と思えること、この辺りから来る爽快感・緊張と解放が、海外旅行を好きな理由のように思う。

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